わかんないっすもんね。

2018/09/09

たみにはいろんな宿泊者がやってくる。

その人のおこなってきたこととか、肩書きとか、
そういういろんなラベルをクリアにして、
カフェのでっかいテーブルで話をしてたりする。

仕事も、今までの関係も何も無くして、楽になった自分は軽やかなのと同時に、
その『何者か』を失った時の緊張感がまたいいんだけど、
まぁそうやって、旅先で楽しそうな夜がよくやってくる。
ま、よく言われるやつなんすけど。

きのうの夜も、いつものように
いろんな場所からやって来た人同士が出会っては、
「どっから来たの?」
とか
「へー、明日何するの?」
とか
そういう話から始まる。

その後、だいたい話は、
その人の仕事の話とかになっていって、
「普段は何してるの?」
などとなって、
「え!まじ!?めちゃすごくない!」
みたいなパターンも当然ある。

そしたら、そんなやりとりをカウンターで聞いていた常連のおっちゃんが、
「なんかさ、すごいことをした人とか、実はたみに泊まってた!とかもあるかもねぇ。」
と言った。

「そうっすよね、わかんないすもんねぇ。」
とかいう話をして、
うだうだしゃべっていた。

普段出会わない人もよく来るから、知らないことが多くて面白かったりするし、
え、本当にこの人すごい人くないですか?!
てか将来どうなってくんすかね?

みたいな人ももちろんいる。

確かになぁ、といままで泊まってきたゲストの活躍している将来なんかを考えていた。

今朝、
ツイッターでひとつの訃報を見た。

数ヶ月前にたみに泊まってくれたお客さんだった。

彼はデザイナーで、僕も名前を知っていた。

鳥取にある病院を目指して療養で来たようだったが、
彼も、たみのことを知ってくれていて、
鳥取に行くなら、せっかくならたみに泊まりたい!ということで泊まってくれていた。

まだとても若いけど、
その時からかなり辛そうで、
まだまだ生まれたばかりの子どももいた。

ここに来る人と僕たちが出会う時、本当にひとつの接点で、ただの通過点。

その人の過去も未来もわかんないし、
無作為に予約された幾つかのゲスト同士や、スタッフが出会う。

濃い交流をしたとか、してないとかそういうことでなくて、
ここに在った時間がとても美しいなと思う。

僕らはだいたい、その人の人生でたった一日出演する。

よく、その人の見えない未来を想像したり、
あのゲスト元気かな?とスタッフで会話したりもする。

今まで来てくれた人たちに、もう一度、全員、会いたいなと思った。

人が亡くなるのは悲しいですなぁ。

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